何にでもマヨネーズをかけてしまうマヨラーが珍しくない今の世の中では冷やし中華にマヨネーズをかけるのも抵抗を感じないことでしょう。
カップ焼きそばにも当たり前のようにマヨネーズが付いていることからもそんなことを感じます。
衝撃的だった冷やし中華にマヨネーズ
夏に自宅で過ごすときにエアコンではなく扇風機が普通だった時代に冷やし中華には氷が欠かせませんでした。
最近では、コンビニ商品として食べたいときに気分で冷やし中華が食べれるようになり冷やし中華の価値も庶民に一段と馴染みのあるものになってきたとも言えるでしょう。
話は、冷やし中華が手軽に食べれるコンビニがまだそこらに多くなかった時代のこと、今から30年以上前のことです。
当時、横浜の会社に勤めていたときに浪江(福島県)出身の人が社員寮の食堂で出される冷やし中華にマヨネーズをかけていました。
しかも一人ではなく二人、どちらも同じ浪江の出身、もしかしたら自分の記憶違いで近くの相馬市近辺かもしれません。
何せことは福島県の沿岸部、相馬から浪江周辺での冷やし中華文化のことです。
そんな彼らが口にしていたのは「浪江の食堂では冷やし中華を頼むとマヨネーズも一緒に出てくる」ということ。
そのマヨネーズというのが、小皿か何かに盛られてくるとかではなく冷やし中華がテーブルに置かれるときに、家庭用にあるチューブ式の普通サイズのマヨネーズも一緒に置かれるというのです。
この話を聞いただけで口が半開きになったのを覚えています。
また、実際に冷やし中華にマヨネーズを付けて食べるという話も、それまで聞いたことがない食べ方ですし、当時周りにいた会社の人も初めて見る食べ方だと言っていました。
実際にその二人だけは抵抗なくマヨネーズをふんだんにかけた冷やし中華を美味しそうに頬張っていました。
ポイントは野菜に少量
当時、冷やし中華にマヨネーズをかけることは一般的なことではありません。
彼らは、その食べ方を人に勧めるわけでもなく、「本当に美味しいのか?」と疑う人には「旨いからマヨネーズつけて食べてみな」と話していました。
信じられないと、あまりしくこく食い下がると「冷やし中華には野菜が載っているから、最初は麺のほうでなくその野菜につけるのがポイントだよ」と教えてくれたりもしました。
要は、冷やし中華にきゅうりが載っていたらそこにマヨネーズ、もやしが載っていたらその「もやし」にマヨネーズを付けて食べるのだが、これが冷やし中華のスープや麺にも合うのだというのです。
そんな冷やし中華にマヨネーズのツボみたいなのを耳にしてから、自分が実際に冷やし中華の野菜にマヨネーズを付けてみたのは、それから何年も経ってからのこと。
試してみたら、冷やし中華にマヨネーズは確かに悪くない組み合わせでした。
ただし、当時に比べ食卓でのマヨネーズの存在がメジャー化したと感じられるのと食文化の変化により我々の味覚にも多少の変化が生じていると思われます。
浪江という町
先に話したとおり、冷やし中華にマヨネーズの話は浪江若しくは相馬市小高などその近辺でのことで、今となってはどちらだったか確かめる術はありません。
自分がその辺の土地勘に疎いこともあります。
しかし、その二人がことあるごとに浪江について熱く語っていたのは確かでした。
浪江と言えば2011年の震災と原発事故で避難を強いられた地域。
「なみえ焼きそば」なんかが有名な、その福島県の浪江です。
今でも地方のニュース番組などで浪江のことが話題となると、冷やし中華にマヨネーズの話を思い出し、ここ最近では夏になると自分も冷やし中華に迷うことなくマヨネーズをかけていただいています。
そんなわけで、冷やし中華にマヨネーズという文化は浪江から始まったというのが僕の中では定説になっています。