大型バイクとフルサイズ一眼カメラを持つことは似ている

車やオートバイ、カメラなど高性能でサイズも大きなモノを選びたいものです。

そして、実際に手に入れた愛車や機材は所有欲を充分満たしてくれることでしょう。

どちらも手に入れるとフットワークが鈍る

これさえあれば充分だと思って手に入れたものが、将来の自分にとって足かせになるようなことになってはいけません。

人は大人が深まってくるにつれて物を所有することでの満足感が薄れることもあります。

たとえば、「形に残らないサービスへ対価を支払うことこそが消費活動においての至高だ」との考えがその一つでしょう。

やたら大きな所有物や無駄に高性能な機械製品は維持管理にも費用が掛かり、形に残らないサービス(例えば高級温泉宿への宿泊など)を楽しむことを経済的に阻害する悪影響のもとともなるでしょう。

ただ、このことは若さの充分に残るうちは、言葉でしか理解できず経験によらなければ実感できないものなのです。

大型バイクだけの人生を考える

大型バイクを所有してみると、消耗品であるタイヤの値段が高いことに驚きます。

他にも整備の費用に車検や保険など、大型バイクにかかる維持費はかなり高額。

自分の人生はハーレーだと言い切れるならば、そういった生き方も大いにありでしょう。

実際に手に入れてみると大型バイクのパワーを発揮できる場所は少なく、下手すると高速道路ですら満たされない有り余るスペックです。

そして、その価値観を共有できるのは免許を所持するライダーに限られ割と狭いものでしょう。

持つ楽しさだけのフルサイズ一眼カメラ

フルサイズ一眼カメラを所有し、それを楽しむためにもやはり犠牲になるものがあります。

バイクにせよ、一眼カメラにせよ、それがほどほどにつり合うような経済力を身に付ければ良いかもしれませんが、とても万人に共通する目標とはなりえないでしょう。

優れたカメラを使うことで「他人に自慢できるほどの綺麗な写真」が撮れるかもしれません。

しかし、せっかく撮れた綺麗な写真は画素数までも大きく管理が面倒だったりWebへのアップロードに適さないサイズであったりと、肝心の写真を認めてもらうまでの工程にさえやや難が生じるでしょう。

趣味を楽しむカメラで、性能が良すぎるあまり成果を出すためのフットワークが鈍くなってしまうのも本末転倒ではないでしょうか。

大人は、プロ用の道具を使い成果を出すための工程もプロ並みの七面倒くささがあれば、その重みに安心してしまうのかもしれません。

一度手にして実感する必要がある

そこそこのバイクでもバイクの楽しさは味わえます。でもそのことを知るには一度大型バイクを所有してみなければ分かりません(大型が心底好きな人もいますが‥)。

カメラも、大きくて重いフルサイズでなくても、撮る楽しみ、作品を評価してもらう楽しみは素人なら変わりありません。

このことも一度フルサイズ一のカメラを所有してから熱が冷めてみないと分からないもので、大人の所有欲というのは非常に回りくどい仕組みになっています。

しかし、本質を知るには他人からの情報でなく身をもって体験しなければ生活の中でも同じことを繰り返すことになるでしょう。

過程を無理に省略することのデメリット

CB1000FホンダBIG1

価値がある動産や不動産も、実際に手にしてみなければ所有による満足感や真の価値は分からないものです。

欲しかったものを手中に収め、そこで全てが満たされる経験というのは非常に少ないのではないでしょうか。

手にしたとたんに更に上級の物、上質の物を求めてしまうのが人の思考回路であることはよく言われることです。

ただし、そのことを身をもって知るためには、欲しがったモノを力ずくで際限なく手に入れていく必要があります。

人の話や理論で自分の気持ちや欲求を抑えることが難しいのは、大人なら既に経験から心得ていることでしょう。

自分の内にある若さと物欲がどんなものか腑に落ちるまで機械的に繰り返すしかありません。

それが自分の求めたい「究極の至高」を知るうえでの最も最適な手段とも言えるでしょう。

こと物欲において、本当の満足は継続して求め続ける自分を客観的に認め、そのことに誇りを持つことかもしれません。